3.溶射でできる補修・できない補修
溶射でできる補修・できない補修とは? 判断のポイントを解説
部品補修の相談で多いのが、
「この部品は溶射で直せるのか?」
というご質問です。
溶射は、摩耗した部品の表面を再生し、寿命を延ばすのに有効な技術です。
ただし、すべての損傷に対応できるわけではありません。
補修に向くケースもあれば、向かないケースもあります。
まず、溶射で補修しやすいのは、表面の摩耗や軽度の損傷によって寸法が低下した部品です。
たとえば、シャフト外径の摩耗、スリーブのすり減り、ロール表面の傷みなどは、溶射によって寸法を回復し、再加工によって再使用できる場合があります。
また、腐食による表面損傷を抑えたい場合や、今後の摩耗・腐食を防ぐ目的で皮膜を形成する用途にも向いています。
つまり溶射は、表面機能の回復や向上に適した技術です。
一方で、溶射が難しいケースもあります。
たとえば、母材そのものに大きな割れがある場合、深い欠損がある場合、部品全体の強度が落ちている場合などは、表面だけを再生しても根本解決にならないことがあります。
そのような場合は、溶接補修や新品交換のほうが適切なケースもあります。
また、形状や使用条件によっても適否は変わります。
極端に薄い部分、衝撃荷重が大きい部分、使用中に大きな変形がかかる部分などでは、補修方法の選定を慎重に行う必要があります。
重要なのは、見た目だけで判断しないことです。
同じ「摩耗」でも、母材の状態や使用環境、要求精度によって、適した補修方法は変わります。
図面、現品、使用条件を確認したうえで判断することが大切です。
溶射は、部品を活かしながら再生・延命を図れる有効な方法です。
ただし、万能ではないため、できる補修とできない補修を見極めることが重要です。
摩耗した部品が溶射で補修できるかどうかは、部品状態と使用条件によって変わります。
まずは図面や写真、現品の状態をもとにご相談ください。

